あわあわの世界

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(58)あわあわの幕間5:サビネコ兄弟とピサトの残り火⑥ いつか、また一緒に

***  逃げ込んだ獲物を捕るために、暗い隙間に手を突き入れて滅茶苦茶にまさぐる。ネコがよくする動きだ。  垣根の向こうからなだれ込んできた“鎧”『ネコソルジャー・デス』の大群は、窓を突いて家の中をかき混ぜた。  争いの廃棄物が殺到する。 ...
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(57)あわあわの幕間5:サビネコ兄弟とピサトの残り火⑤ 命ぜんぶかけて

***  家の中にいたのは26匹。ほとんど口もきけない幼ネコばかりだ。  聞けばこの子ネコたちの暮らしていた施設に、他の施設から一報があったという。  途端、成ネコたちは慌てだし、これから応援に行かなければならないからと、幼ネコたちの中で一...
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(56)あわあわの幕間5:サビネコ兄弟とピサトの残り火④ 『一斉浄化作戦』当日

***  『メトロ・ガルダボルド』の夜に戒厳令が敷かれるのはそう珍しい事ではなかった。街ネコたちの対応も手慣れたもので、文句を言うものはなく、理由をとやかく聞いて来るようなネコもいない。  ただ、今回の作戦はすべての『残り火』たちを”捕獲”...
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(55)6-21:『プルーム群』突入

*** 「今度は紫か。だんだん暗くなっていくな」  宿場町から脱出した子ネコたちを待っていたのは深く暗い紫色の世界だった。『宝石の海』からこっち、緑色、青色、紫色、と確かに進むにつれて世界の色味が濃くなっている。  『青の世界』と同じように...
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(54)6-20:ネコ・コークスクリュー

*** 『『はしる〜ネコは~ゆれる~よ〜お〜お〜』』  声を揺らしてはしゃぐコドコドたち。2匹は茶色いマイケルの両肩に乗って、 『右よ~し! 黒いの3匹はっけ~ん!』 『左よ~し! ちっちゃいの4匹はっけ~ん!』  と周囲を確認してくれてい...
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(53)6-19:ガオー!

***  ネコソルジャー・デスを囲んでいた視線が茶色いマイケルの両肩に注がれる。  『氷柱ネコさま』と『霙(みぞれ)ネコさま』。  2匹のコドコドは300匹近いネコたちから見られていることに気付くと『『みゃー!?』』と脚を滑らせ背中にしがみ...
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(52)6-18:ネコ鞭

***  『史上最悪の殺猫兵器』について語り終え、満足そうな顔をしているキャティ・マッド・グレース。  茶色いマイケルの耳は、先の先まで震えていたよ。ただしそれは、『ネコソルジャー・デス』に対してじゃない。  たしかにその話は子ネコにとって...
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(51)6-17:『史上最悪の殺猫兵器』

***  始まるって、なにが……。  茶色いマイケルの視線の先。トムとチムがバネを効かせてタッと後ろへ跳ぶ。すると間もなく、2匹に挟まれていた『ネコソルジャー』が、地面に両手足をついて四つん這いになった。  ただしその両手足というのは『猫鎧...
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(50)6-16:ネコソルジャー

***  しーんと静まりかえった路地の中、茶色いマイケルは、大通りに佇む完全武装の鎧ネコから、 『消毒液補充プロセス……完了。残量……92パーセント』  という女性ネコの声を聞いた。それは耳の良いネコにしか聞こえないほど小さな声だ。 『空気...
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(49)あわあわの幕間5:サビネコ兄弟とピサトの残り火③ 提案

*** 「隊長。資料の用意が出来ましたので説明致します」  『治安維持ネコ部隊』の執務室。  補佐役として任命された初老の黒ネコが、携帯端末を取り出し、プロジェクタと有線接続する。壁一面を使った大仰なスクリーンに映し出されたのは、 「『食猫...