書き出したタスクに支配されてしまっている。
タスク、すなわち やるべき事。
眠る前、ブロック型の付箋に次の日にやる事を書きだすようにしているのだけど、これがかなり良い。それまでは行動と行動との間にいちいち「次なんだっけ」というラグが生まれていた。
じっくり考えている時間はあっても、悠長に構えていると次第に動きが緩慢になってしまい、だらだらと一日が過ぎる。そして日記を書きながら、
「あ、アレし忘れた!」
と大慌てでパソコンを立ち上げたり、あるいはモヤモヤを抱えたまま眠ることになる。
それがどうだろう、タスクを書くようにしてからは行動と行動との間に切れ目がなくなったし、夜ぐっすりと眠れる。
なにより達成率が格段に上がった。100パーセント近く達成できている。
書き並べた項目を ひとつひとつ消化し 横線で消していく。すると残りのタスクが浮かび上がってくる。一覧になっているため、時間と相談しながら、その時にこなせそうな項目を選ぶことだってできる。
100パーセント達成! としないのは「ちょっと甘口採点だけど、まぁ達成でいいか」ということもあるので、そのことへの後ろめたさだ。
さらに最近は、やるべき事だけではなく やりたい事も書くようにした。この方法が特に良い。かなり気に入っている。タスク達成の波に乗り、その勢いのまま やりたい事もクリアできるのだ。もちろん間に合わない時もあるけれど ”やりたいこと”という緩やかな区分にしているため、できなかったとしても気負うことはない。「また今度」と割り切れる。
このタスク書出し作戦、『まさに向かうところ敵なし、必勝の計!』と言いたいところだが困った副作用がある。
依存してしまうのだ。
やるべき事をこなし、さらにやりたい事まで終わった時、時間のすき間に迷い込む。
タスクがないと心細くなる。
口をぽかんと開けて、「……あれ、つぎなにしよう」と 干した芋みたいな心境になる。いや、芋の心境なんて知らないけど。
よく、『定年まで一生懸命働いて 余裕のあるリタイアを迎えらえたはいいが、やる事が無くなってしまい魂が抜けたような状態になってしまった』という話を耳にするが、似たようなものかもしれない。
目の前に道が見えていないと立ち止まってしまう。
たった一つの点でもいい、何か目印を……。
なんて、真っ暗闇の宇宙空間にでもワープさせられた気になってしまうのだ。
これはいけない。
これでは動きを止めてしまった時とあまり変わらないではないか。
むしろ より悪い。
一歩でも、いや 半歩でも つま先ほどの距離でもいいから 進もうとしないと、一度動きを止めたら次の動き出しまでに余計な力が必要になる。動けなくなる。やる事が思いつかないのならとっとと寝てしまった方がいい。体を休めるという能動的な行動をしていられるのだから。
『全軍撤退』を『後方へ進軍』と言い換えたのは誰だったか。何かの小説の話だったかもしれないが、この”前向きな後退”も時には必要だ。
しかしこの『タスク依存症』、根本的な解決方法としては、『大目標』が良い。
目の前にある やるべき事 やりたい事の向こうに、もっと大きな目標を持つのだ。そのためのレールを点で用意しておくとなおいい。
例えば、仕事以外の趣味をもち、そちらで大成したいと大目標を掲げる。
その大目標をかなえるためのロードマップをあらかじめ考えておくことで、タスクを達成したあとも「さて、それではもうやる事もやってしまっているので」とスムーズにそちらへ頭を切り替えることができる。
すると暗闇に取り残されることも、呆けて干し芋になることもない。
遠くを見ていないと歩けないのかもしれない。
少し先を見ながら歩いて、道が途切れたら顔を上げて進むべき方向を確認する。
そしたら右も左も分からなくなるということはないはずだ。
なんか干し芋食べたくなった。
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