レビューを見て怖気づいた。
先日、フリマアプリをダウンロードしようとして何気なく口コミを見たところ、何やら不穏なコメントが並んでいたのだ。
「取引相手と連絡がつかなくなった」だの「商品が届かない」だの「運営の対応がずさん」だのと、立て続けに怒りの声。
総合的な評価はかなり良いのに、そこだけを見ると そっとページを閉じたくなる。いや、閉じた。そのあとに「別に今すぐに使うわけじゃないし雰囲気だけ知っておこう」とダウンロードしたのだが、こういう悪い話というのは大きく見える。
少し前になる。
お世話になっている美容室でホームページについて話をしていた時のこと。店長さんが、
「口コミって消せないんですかね……」
と眉尻を落として尋ねるものだから、何事かと聞いてみればタウン誌系のウェブサイトに「イメージした髪型にならなかった」というような内容の口コミがあったという。
別に責めたてているわけでもなく、ただ個人的な感想を書いているというのはわかる。それでも他の口コミがなまじ良いだけに、目立つ。そして美容師さんの印象が悪くなる。
なんだ、髪なんてひと月もすれば生えてくるじゃないか、と思うかもしれない。しかし数ミリ切りすぎただけで泣かれてしまったという話を聞いたこともあるし、お店にとってこの口コミは大きい。
そういえば似たような経験があった。
以前ニコニコ動画に、MMD(3DCGソフト)で作った動画をアップロードしていた。
この動画サイトには、動画を見ていると視聴者の書いたコメントが画面上を流れる仕組みがある。動画を楽しみつつ コメントに笑ったり、応援の言葉で作者を称えることもできる楽しいサービスだ。
「すげー!」
「ふwざwけwんwなw」
「どうしてこうなったwww」
と、かなりしゃべり言葉に近い雰囲気。クリエイターだけでなく他の視聴者にも親近感を覚え、盛り上がる。
が、「おもしれー」というコメントが画面を埋め尽くすような動画の中、
「つまんね」
と流れてくることもある。こういうのがやたら目立つのだ。途端に冷めた気になる。
コメントが多いならばまだいいけれど、投稿したばかりでポツポツとしか反応がないときにイマイチ乗り気でないコメントが流れたなら悲惨。その後に見る人の コメントする気を削ぎ落し、しかしコメントは消えることなく残り続ける。まるで立ち入り禁止を告げる立て看板のごとく、視聴者をその動画から立ち去らせるのだ。
こうなると再生数はなかなか伸びない。
残念ながらその時点でこの動画は 面白くない動画という烙印 を押され、動画の海に消えていく。
……とはならない場合もある。
中にはこの烙印の仕組みに気づき、気のないコメントを目立たなくなるように良いコメントで上書きしてくれる人がいる。コメントの流れるタイミングを見図り、それに被せるように「いいぞ~」みたいなコメントを書き込んでくれるのだ。
なんて気の利いたお人!
すると、徐々にコメントも増えだし本来あるべき流れへと戻るっていく。
後から見た人は、まさか水面下でこんな戦いが繰り広げられているとは思わないだろう。
まぁ、思いっきり表面化しているんだけど。
それでも意図を読まないと分からない戦いであることに違いない。
このような戦いは実生活でもあるのだと思う。ネットと実生活との区切りの話は置いておく。
悪意があろうがなかろうが誰かを困らせるものがあり、目には見えていても周りは気づかない。気づくのは当事者くらいという。
願わくばそんな彼らを、さりげないコメントでガードしてあげられるような気の利くヒーローでありたいものだ。
コメント投稿