虚空のマイケル

クラウン・マッターホルンの神造山脈と虚空のマイケル

4-13:青空のネコ

*** 『シエル……』  大空の神さまは今まで、茶色いマイケルたちをこれっぽちも見ていなかったみたい。  視線を向けられたと分かった途端身体が、空を映した床の上にへばりついた。とんでもなく高いところから放り投げられたカエルみたいに、両手両足...
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4-12:踊り

***  神さまを……殺せ?  心臓に肉球を押し当てる。のどはひび割れそうなくらいカラカラだ。  どういうこと? わからない。  音をたてないよう深く息を吸いこみ、慎重に吐いた。  ここは神さまと繋がる場所だと虚空のマイケルは言っていた。跪...
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4-11:命令

***  雲塊に向かって跪ひざまずく虚空のマイケルを、責め立てる時間は十分にあった。  未だ雲は、暴風の中の樹木みたいに揉みくちゃにされて、形を決められないでいたんだからね。  問い詰めたり咎めたりしなかったのは、しても意味がないと分かった...
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4-10:接続

***  『信頼の鎖ネコシステム』が失われたと聞いて、真っ先に思い浮かぶのはカラバさんの話だった。  『大地の神の不在』。  もしかしたら大空の神さまも遠くへ行ったのかな、と思ったけれど、ちょっと待って。だとしたらネコたちは空に浮けないし、...
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4-9:システム

*** 「『信頼の鎖ネコシステム』とは、空に住まうネコたちの言動の全てを、それぞれの『ネコ精神体』に記録として刻み込む仕組みだ」 「さっきも出て来たけど、その『ネコ精神体』って何だろう?」 「難しく言えばキリのない話だからな、”心”とでも思...
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4-8:恩恵

***  茶色いマイケルたちが連れてこられたのは、虚空宮殿の中心にある特別な建物だった。  外から見た宮殿は、壁があって、床があって、屋根があって、普通の家と同じように外と中とが区切られた”箱”に見える。だけどね、その中心にある特別な建物は...
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4-7:疑い

***  果実のマイケルは扉の鍵を閉め窓のところまでやって来て、「こっちこっち」と2匹のマイケルを手招きしたよ。茶色いマイケルたちは顔を見合わせはしたけれど、その手で示されたとおりに窓の外を見た。 「シエル・ネコ・バザール?」  茶色いマイ...
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4-6:ビュッフェスタイル

*** 「えっ、もうこんな時間なんだ、まだすっごく明るいのに」  部屋に戻った茶色いマイケルは、灼熱のマイケルと一緒に窓の外を見ながら話をしていたんだけど、ふと見上げた壁時計の時間を見て驚いた。 「ここは遥か空だからな。沈むべき地平線が下に...
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4-5:超ネコ技術力

***  水浴びに誘われた茶色いマイケルはあーうーと悩んだ末、一緒に行くことにしたんだ。灼熱のマイケルみたいに毛をびしゃびしゃに濡らしているってわけではないけれど、ガサガサのボサボサになっていたからね。  舐めて毛づくろいしても良かったんだ...
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4-4:安心

***  シエル・ピエタの王様ネコは茶色いマイケルに色々な質問をしたよ。  住んでる場所やお母さんネコの事、それから特に仲良くしている子ネコたちやどんな遊びが好きかとかね。楽しかったことや怒っちゃったことなんかも聞かれたな。難しい質問じゃな...