5. あわあわの世界

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(88)8ー6:ボーガンと獣

***「あの、ケマールさん。その……構えなくても大丈夫だと思うんだけど……」 樹洞の最奥(さいおう)。 わずかしか光の届かない暗がりは思ったよりも明るい。壁に背を預けて座っているケマールさんの武器『白骨のボーガン』が、ほのかに白く輝いている...
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(87)8ー5:樹洞の中は、砂時計

*** ジャガーネコが蹴り飛ばされてから、どれくらい経っただろう。 子ネコたちは大樹にぽっかりとあいた洞(うろ)の中に身を潜めていた。ネコの口を縦に開いたような長丸い入り口からはほどよく光が入ってくる。 砂の止まった銀色の砂時計。 樹洞(じ...
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(86)8ー4:せいばつ!

*** 身体ひとつ分跳び下がり、地面に足を埋めながら身構える2匹の神ネコさま。『『か、風の神!』』 声は裏返り、余裕は消し飛んでいた。オオヤマネコの耳先がプルプル震えている。『クロヒョウたちがよー、オレにビビってこっちに付いたとしたらどーだ...
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(85)8ー3:ボコられマルティン

*** 潰れたシルクハットがその形をさらに歪ませる。 イタチに似た神ネコさまが短い足で踏みつけたんだ。『裏切りネコ野郎ぉ』 神ネコさまは長いしっぽを楽しげに揺らしながら小ぶりな身体をしならせ、帽子をぐりぐりと地面にねじ込んでいく。その器の中...
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(84)8ー2:ずんぐり獣の攻略法

*** 神ネコさまたちは雪煙のように消えていていた。 地面から身体を起こし、銀色の大樹を振り返った時にはもう影も形も残っていない。足元にいたはずのコドコドたちまでいなくなっている。 ズン、という音は20メートルほど離れた大樹の下からだった。...
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(83)8ー1:伝説の獣

*** そこには銀色の森が広がっていた。 巨大な針葉樹が延々と立ち並び、その太い幹の、根本に生えた草の一叢(ひとむら)からさらに下、地面に転がる欠けた小石に至るまですべて、銀の液体に浸したような鈍い輝きを放っている。 鈍くて、洗練された輝き...
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(82)あわあわの幕間4:外交官ネコ マルティン③ 急報

♣♣♣ マルティンがその一報を受けたのは深夜2時前、自宅の寝室でのことだった。 毛玉飾りのついたナイトキャップを鷲づかみにして、「ばかなっ!!」 と外務省の上役に食ってかかる。宙に浮かんだホログラムネコデバイスは微光を放ち、目の奥にわずかな...
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(81)あわあわの幕間4:外交官ネコ マルティン② 黄昏のリーベ・レガリア

♣♣♣「いつ見ても完璧な景色だ」「どうかすると嫌味にしか聞こえないセリフだが、君が口にするとそうは聞こえないなリットン」「当たり前だろう、心からそう思っているんだから」 黄昏た雲にほど近い、レガリアネコタワー展望所の最上階。地上1500メー...
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(80)7ー14:『アラート:残存ネコ14%……ネコ補給プロセス開始します』

*** まだらに漂う赤い霧。 何千というネコ救世軍の只中で、蜘蛛のような躯体がギッと金属音を軋ませる。向いた先は宙に浮かんだ茶色いマイケルだ。真赤を浴びた殺猫兵器は、六本のネコ牛刀をしっぽのように漂わす。投げ縄でもするように。 さっき、ボク...
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(79)7-13:『大規模殲滅戦闘』

*** しなる六本の『ネコ牛刀』。 名前のとおり薄く鋭利に鍛えられた刃の形をしている。それでいて鞭のしなりもあった。切れ味はバツグンで、骨を断つ音すら聞こえない。 ただの一薙ぎだ。 たったそれだけで20匹近いネコの首が飛んだ。 ごぷっと一瞬...