ホロウ・フクロウの大森林と灼熱のマイケル 2-13:消沈 *** 「さて、そろそろ行くか」 そうだね、と応える茶色いマイケルに、燃える炎の子ネコは手を差し出した。 「大丈夫」 「そうか」 茶色いマイケルは片ヒザを立てて、ゆっくりと立ち上がり、汚れた膝小僧を手で払った。湿った土の跡が暗がりでもわ... 2021.02.04 2021.08.08 ホロウ・フクロウの大森林と灼熱のマイケル
ホロウ・フクロウの大森林と灼熱のマイケル 2-12:無力感 *** ピュンッ、ピュピュピュンッ! その樹はほとんど枝がなく、空に向かって真っすぐ伸びていた。 なのに燃える炎の子ネコは、まるで水滴がグラスの表面を伝うような滑らかさで地上まで降りてきたんだ。 ほとんど音をたてないまま地面に降り立... 2021.02.03 2021.08.08 ホロウ・フクロウの大森林と灼熱のマイケル
ホロウ・フクロウの大森林と灼熱のマイケル 2-11:ホロウ・フクロウ *** ホーウ、ホーウ あざ笑うように悠々と翼をはためかせ、辺りを一望できる樹のてっぺんに片脚で降り立った、ホロウ・フクロウ。 燃える炎の子ネコをつかむもう片方の脚を、器用に持ち上げていた。 木々のすき間を埋めるほどの巨体。 遠巻... 2021.02.02 2021.08.08 ホロウ・フクロウの大森林と灼熱のマイケル
ホロウ・フクロウの大森林と灼熱のマイケル 2-10:フクロウの群れ *** ホロウ・フクロウの林に踏み込むとすぐに、2匹の子ネコは鼻を両手で覆った。10メートルも進まないうちだった。 そしてその時、勝手に爪が出てきた。 ネコの爪は出し入れ出来るんだ。爪を研ぎたいときに出して、引っかきたくない時にしまえ... 2021.02.01 2021.08.08 ホロウ・フクロウの大森林と灼熱のマイケル
ホロウ・フクロウの大森林と灼熱のマイケル 2-9:『くらぁい くらぁい おおきな もり』 *** ご先祖ネコ様の丘へのぼる道。 ゆるやかな坂道がかるく盛り上がったところで、左右には林が広がりだす。その奥には子ネコの秘密基地があちこち散らばっている。 「スノウ・ハットに住む子ネコにとって秘密基地は特別なんだ。だからもし見つけた... 2021.01.31 2021.08.08 ホロウ・フクロウの大森林と灼熱のマイケル
ホロウ・フクロウの大森林と灼熱のマイケル 2-8:あとおし *** 「ホロウ・フクロウの大森林。そこに冒険があると?」 茶色いマイケルは、肉球のあとがつきそうなほど、強くヒザをつかむ。そしてうなずいた。 「スノウ・ハットの子ネコたちは、あの林の奥に入っちゃダメだって、ちっちゃいころから教えられてい... 2021.01.30 2021.08.08 ホロウ・フクロウの大森林と灼熱のマイケル
ホロウ・フクロウの大森林と灼熱のマイケル 2-7:熾火 *** だけど燃える炎の子ネコの年齢を聞いたとき、茶色いマイケルはぴくっと耳を尖らせた。 ちっちゃくて、声が高くて、物知りな、そんな子ネコは茶色いマイケルと同じ歳だったんだ。 少し上でも、少し下でもなく、同じ歳。 *** 「ワシはさら... 2021.01.29 2021.08.08 ホロウ・フクロウの大森林と灼熱のマイケル
ホロウ・フクロウの大森林と灼熱のマイケル 2-6:雪と氷の女神さま *** 「そんな! 雪がしゃべるはずがないじゃないか!」 「そう、誰もがそう思っていたのだ。耳を寄せて聞いていてもなお」 燃える炎の子ネコは腕を組み、噛みしめるようにうなずいた。その様子を見守るのは、いつしか茶色いマイケルだけじゃなくなっ... 2021.01.28 2021.08.08 ホロウ・フクロウの大森林と灼熱のマイケル
ホロウ・フクロウの大森林と灼熱のマイケル 2-5:ご先祖ネコ様の冒険 *** 「ワシの国に伝わってきた話だから、お前の知っている話とは違うかもしれない。もし違っていても気を悪くしないでほしい」 そう断ってから燃える炎の子ネコは話をしてくれた。氷の神殿の中で、ご先祖ネコ様の氷像を見ながらのことだよ。 「スノウ... 2021.01.27 2021.08.08 ホロウ・フクロウの大森林と灼熱のマイケル
ホロウ・フクロウの大森林と灼熱のマイケル 2-4:燃える炎の子ネコ *** 実際、燃える炎の子ネコはいい子ネコだった。 迷子の子ネコの相手をする様子を見ていると分かるよ。とても温厚なんだ。 子ネコってさ、興奮してくると言いすぎちゃったり、やり過ぎちゃうことがあるんだけど、そういうのを全く気にしない。 ... 2021.01.26 2021.08.08 ホロウ・フクロウの大森林と灼熱のマイケル